ミカンは実が小さいときに,なり過ぎや隔年結果を防ぐために「摘果」(てっか)といって,半分程度間引きします。
ただ捨てるのはいかにももったいなく,これの有効利用はないものかと考えていました。
そんな時,「産経新聞」に 近畿大学薬学部、久保道徳教授の「ミカンがアレルギー症状に強力な効果がある」という報告が載っていることを知らされました。これはその「要約」です。
昔からミカンを風呂に入れると、肌がなめらかになり、かゆみが消えたなどという民間伝承から、何が作用しているか調べた。 その結果、温州ミカンの中に含まれる物質ヘスペリジンに強力な抗アレルギー作用のあることが分かった。 ミカンの収穫時期や部位によって作用は異なるが,「未熟期のミカンは、医薬品の抗アレルギー剤や抗炎症剤に近い強い効き目があり、 アトピー性皮膚炎などアレルギー症状のある人にはかなり有効」である。
7月の未熟期のミカン(直径1.5-3cm)から、11月の完熟期のミカン(直径5.2-7.6cm)まで時期別に8段階に分けて採取したものをエキスにした。それをマウスから採取した、かゆみの原因物質ヒスタミンを放出するマスト細胞の中に入れ、ヒスタミンをどれほど抑制するかを見た。 |
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アレルギー反応を起こさせたラットに実際にエキスを経口投与する実験も行った。ラットの耳にアレルギー物質を接触させ,感作(かんさ:薬品などが体に入ることによって,同じ物質に対して過激な反応を示す状態を作り出すこと)させて投与後の耳の反応をみた。 一定時間後,何も与えなかった自然治癒の場合では,耳のハレはピーク時の20%収縮。 ラットの体重1kgあたり20mgのエキスを投与したグループでは45.3%の収縮, 100mg投与では65.27%の収縮となり、大幅な抗アレルギー作用を示した。 強力な抗炎症作用を持つステロイド剤・ブレドニゾンを投与したグループでは79.03%だったことから,ミカンのエキスがいかに強くアレルギーなどの炎症を抑えているかが分かる。 |
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1.強力な抗アレルギー作用のある物質ヘスペリジンは中果皮(ミカンの皮と果肉の間にある白い部分)に多く含ま
れるから,これを取らないで食べる。
2.ミカン風呂はミカンを丸ごと5,6個入れると効果がある。
3.最も効果のある摘果ミカンは、すぐに輪切りにして天日で乾燥し,煎じてお茶代わりにしたり,入浴剤に使う。
久保教授の報告には特に「無農薬ミカン」でなければならないとは書かれていません。ミカンは農薬をかけないと市場での評価が極めて低く,「無いものねだり」になるからかも知れません。しかし、体の中に入れる限り,「無農薬」はむしろ常識でしょう。私どものように「無農薬」で戦っている農家もありますから,それを確認(信頼できるかどうかの問題もありますが)されてから試されたらと思います。農薬浸けの「ミカン風呂」に入って「体にいい」と言っておられるのを聞くと,実情を知っている者として,ゾッとします。
実際にアトピーが治るかどうか,保証できませんが,少なくとも「副作用」はないはずです。
「ミカン風呂」は食べたあとのミカンの皮でも良いでしょうが,丸ごとがいいのなら「ジュース用」という,選外品のミカンもあります。「ジュース用」にはアメリカから輸入されたオレンジを使うとかで,昔と違って農協もなかなか引き取ってくれないのが実情です。送料の方がはるかに高くなると思いますが,適価でお分けしています。ほとんど箱代と手間賃です。摘果ミカンは小さくて手間がかかるのでやや高くなります。
何だか「商魂たくましい」ようですが、せっかく神様が与えてくれた作物を有効利用しないのは申し訳ないと思うのです。