大石(スモモ) |
大石は代表的なスモモといってよいでしょう。やや酸っぱい、あっさりした味が好まれるが、私は真っ赤になった完熟が好き。 昔、親父が作っており、季節には朝5時くらいから収穫して、そのあと学校に行ったりしたものでした。昔の百姓の子は手伝いが当たり前でした。今は手伝いも勉強もしない子が標準です。木箱に詰めるのは親父の仕事。というより、私は性格的に細かい単純労働を長時間できない。 田辺に帰ってきてからしばらくして親父が極早生ミカンに植え替えましたが、完熟大石の味が忘れられず、2001年ごろ極早生ミカンの一部を切って、苗木を2本植えました。 《完熟》の次は《腐り》です。輸送中の荷傷みも考えると、農家が未熟な実を出荷するのも無理はありません。お店にとっても好都合です。腐ったものは売れませんから。完熟を食べるのは贅沢なのです。 下の写真は大石の樹。大石、ソルダム、新庄、サンタローザ、梨、キウイ、ぶどうがこの棚を利用しています。 |
新庄(スモモ) |
田辺市新庄で発見されたというスモモの新種《新庄》。 2003年ごろ3年生の苗木を3本手に入れ、他のスモモ、なし、キウイなどと一緒に棚を作って植えました。ミカンにせよスモモにせよ、畑によって味が異なり、合わない畑に植えられた苗木は不幸です。生産者はさらにみじめです。2006年は自分たちの試食程度、2007年は一部のお客様へのご紹介程度収穫できました。幸いにしてこの畑の新庄は《うまい》とおおむね好評です。バラツキは仕方ないかもしれません。 新庄は大石(一番上の写真)の変種らしいですが、これより香り・味ともに上です。皮・果肉がやわらかく、追熟も早く、上品な味わい。ところがこの「果肉がやわらかく、追熟も早く、上品な味わい」というのが新庄の最大の欠点でもあります。生産者にとっては処理が難しく、箱詰めや搬送に気を使わなければなりません。お店では日持ちがしません。 上の写真は新庄を桐の木箱詰めしたもの。木箱、クッション、フルーツマットなどで重装備しています。さらに、大石などではかなり熟してから虫が来るのに対し、新庄は色が付き始めたころからカンブン、クワガタ(下の写真)、ムカデ、ナメクジ、カメムシなどが貪り食っています。《歩留まり》が悪いのです。 これらの欠点(長所でもあるが)を除けば新庄は日本のスモモの最高峰といっても過言ではないでしょう。今のところはソルダムの方がおいしいが、いずれ追い抜く《片鱗》を見せています。 新庄は実が弱いので、特に厳重に詰めなければならない。桐の木箱は大手スーパーから廃品を貰ってきたもの。まともに箱を作ると、クッションと共で800円くらいかかりそう。コスト、エコ、実の保護、いろいろなことを総合的に検討して、ミカンの5kg箱が今のところ最適という結論に達した。 |
ソルダム(スモモ) |
高級スモモですが、知名度は高くありません。ご存知の方も「あまりおいしくない」と思っておられる方が多いです。これはうちのソルダムで、2003年に初めて販売したものです。2006年から評価され始めましたが、どの箱にどのように詰めるかはなかなか決まりませんでした。大きな物はおいしくて値段も高いのですが、箱の目方は軽くなります。そうすると「目方が足りない」とクレーム。完熟に近いのは柔らかいから、送るにはクッションの工夫が必要で、手間もかかる。あまりうまい商売ではない。結局、5kgのオレンジ箱をスモモ共通の箱にすることにした(上の写真)。木箱は豪華に見えるが、お金がかかりすぎて、我々の基本方針に合わない。 2番目の写真で、上に乗せているのは半分に切ったもの。外が青くても中は赤くなっています。 おいしいソルダムを食べるのは15年ぶり。他の農家のものと比べたり、味のわかる方に試食してもらったりしてかなり自信を持ったのですが、はじめの頃の反応は今ひとつでした。好き嫌いや先入観もあるでしょうが、そのうちヒット商品のひとつになると信じてがんばってきたかいがありました。畑で完熟を食べたお客様は「これでいつ死んでも良い」と感激されました。「こんなうまいソルダムはめったにない」と言われた方には「だから、うちのはセルダム(seldom)と言います」と返しましたが、あまり自慢すると逆手に取ってこられる方もいますので、ちょっと自信があるとだけ言っておきます。 私自身が完熟大好きなので、できるだけ完熟に近いものをお届けしたいのですが、日持ちや輸送中の荷傷みなど、難しい問題もあります。人の好みもそれぞれ。完熟のものから若いものまで混ぜてお送りするようにしています。 |
サンタローザ(スモモ)
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昔、《フランコ》と言っていたスモモと思います。スモモの原型みたいなもので、あまりおいしくはありませんが、ジュースや果実酒にすると色鮮やかです。これは自家用に1本しかありません。 ちなみに、白い粉は《箔》であり、農薬ではありません。 |
ビワ
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みかんの防風林としてビワの木を植えています。剪定はしますが、摘果はしないので、実は小さく、今まではカラスやカナブンや蜂などのえさになっていましたが、ふるさとのお客様のご要望により、枝付で販売しはじめました。手入れをし、肥料をやるようになってから、実がやや大きくなり、味も少し良くなりました。が、ある時、「今年のビワは例年より大きくておいしい」と書きましたところ、約1名のお客様からから猛烈なクレームをいただきました。これに懲りて、「防風林のビワです。枝葉もつけていますから、《ビワ狩り》をお楽しみください。」程度に抑えています。 そうすると、「市販の高いのよりおいしかった」、「ビワをこんなにたらふく食べたのは生まれて初めて」、「子どもが喜んだ」、「おばあちゃんが今年も楽しみにしている」、「自分だけで全部食べてしまった」という声をいただくようになりました。自然のものにはバラツキがありますが、好意的に受け取り楽しんでくれる方も多くなりました。 人生いろいろ、お客様もいろいろ。日々お勉強させていただいて、ありがたいことです。 |
柿(次郎柿・富有柿)
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柿もほとんどがカラスと人様に取られていました。「甘すぎる」という人もいるくらい甘いです。うちは汚い次郎の方がうまいです。 《ヘタ虫》の消毒を1回だけかけています。そうしないと小さい間に全部落ちてしまうのです。 1. 蜂屋柿は大きな渋柿と書いていたので、買ってみました。 大蜂屋とどう違うのか、わかりませんが、250gから300gと、普通の渋柿の3倍ほどあります。一番上の写真で確認してください。 2. これは普通の柿と比べて1カ月ほど早くでき、油断すると真っ赤になって、カラスに全部やられます。赤くなると自然に《渋》が抜けるようです。今回は10/23に収穫し、熟しているものを味見してからスライスしてドライフルーツにしてみました。干し柿の味がしました。もっとジュクジュクのものはスプーンですくって食べました。高級なゼリーでした。冷凍にするとさらに長く楽しめます。 3. 去年は干し柿にして全部カビが生えました。大きすぎるからでしょうね。そこで今年は渋抜きの実験にも半分使いました。35度の焼酎にヘタをつけて1週間ほど密封するやり方と、リンゴを入れて熟成を早める方法です。リンゴのほうは焼酎よりもまろやかにできたものから渋の抜けないものまでばらつきましたが、これは20個の柿にリンゴ1個という割合の問題と思う。柿5,6個にリンゴ1個くらいが適当か。リンゴも食べられるので、来年はけちけちしないでやってみよう。渋抜きの柿はもともとあまり好きではありませんでしたが、自分が実験したものは格別の味でした。正直言って、普通の柿のほうが好みですが。 4. 最後の干し柿は10日ほどしてから青カビが生えてきました。寒さが足りなかったのかもしれません。ならいったん冷凍して寒くなってからつるしたらどうか、来年の課題。とにかく去年よりは成績がいいので、青カビを削り取って、焼酎に全体をつけて、2,3日太陽に直接干してみた。10日後現在、今のところ順調だが、テレビで「干し柿にカビが来るのは寒さが足りないせい。カビないうちに早く食べる」というようなことを言っていた。正月まで待つ必要もなく、一度試食してみよう。手でもんで寒気が伝わるように薄くするのもポイントかもしれない。家の者が無関心なだけ、私の好奇心が果てしなく続く。来年は燻製も実験するかもしれない。 |
キウイ
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今年(2008年)もキウイがたわわになった。オス、メス各1本だが、オスはコンパクトに切り縮めている。ここは元おいしいスモモの畑で、極早生温州に替えたあと棚を作ってまたスモモ類を植えている。うちのキウイはホームセンターで買ったものだが、予想外においしいことが判明したので、メスはあと1本くらい欲しいところだ。
この味のキウイを増やすべく、剪定枝を15cmくらいに切って挿しておいた。初めての経験なので、いろんなタイプの枝を失敗覚悟で15本挿したが、3番目の写真のように予想外に10本から芽が出た。 そろそろポットに植え替えてやる。 |
梨(幸水・豊水)
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上の写真は《幸水》のはず。実を言うと、外観からは幸水と豊水の区別がつかないド素人なのです。これが幸水ならもう1本は豊水ということになる。 私は皮が茶色っぽくてザラザラしたのが好き。風邪を引いたときは梨の皮と芯を煎じて呑むと早く直る。副作用はもちろんない。 過去2年間、ゴルフボールくらいの大きさで全て落下していました。何が原因なのかよく分かりませんでしたが、今年2008年には人工授粉し、ベテランの指導に従って薄い農薬をかけました。とりあえず経験者の意見を聞いてまねをし、それから自分のやり方を工夫するのが《真似ぶ》→《学ぶ》ということでしょう。小さいながらも梨の形をした実が成っているのに受粉していないというのは理解できませんでしたが、幸水と豊水の間を、ハケを持って行ったり来たりしました。今年は少なくとも一方が功を奏したのでしょう。ご褒美に何個か食べられそうです。 何とか順調に大きくなってきたところ、今度はカラスに突かれ、カナブンなどにも食われている。豊水は80個中、30個近くが被害を受けていたので、残りについて袋をかぶせた。残り50個中、更に20個はカラスや虫にやられ、8月末現在30個しか残っていない。 梨の樹の向こうはキウイのオスとメス。何度か枯れかけたブドウもしぶとく生き残っているが、農薬なしではものにならないようだ。 |
イチジク
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イチジクは子どもの頃から家の下に植えていた。 お隣に比べて収穫が少ないのはなぜか、疑問だった。 イチジクは剪定を強くしないとよく成らないのだそうだ。 それに根本の土が流れて根っこが見えている。 思い切り剪定し、液肥をやって、足元全体に土を入れてやると、 正直なものでどんどん成り出した。 1本ではふるさとに入れられないので、 枝を土に埋めて根っこをつけさせ、2本増やした。 3本あれば十分だろう。 イチジクの利用法について、生食、ジャムのほかに何があるか、 質問があった。 「便秘にも効きますよ」と答えたら、まじめなその方、 「それで《イチジク浣腸》と言うのですね。」と納得してしまった。 素直すぎて訂正しそびれてしまいました。 くれぐれもお尻には突っ込まないように…。 写真下は、イチジクの樹。今年もまじめに手入れしてやろう。 |
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